最終修正日:2024/08/14
※オービックホームページより今月初旬から『プッチンプリン品薄』のニュースが流れ、事態が深刻な事が判ってきました。来月5月中旬まで解決出来ないとのことです。
江崎グリコは、基幹システムの更新を数年前から検討し、プロジェクトを進めており、2024年4月3日にシステムの切り替えを実施した。
その際、障害が発生してしまったようです。チルド食品を扱う全国の物流センターの業務を一時停止して原因の究明を進めていたようですが、現在も解決に至らず、5月中旬に解決すべく、作業されているようです。自分は「BifiXヨーグルトプレーン砂糖不使用」が好きで、週1個のペースで購入しています。購入先のサンドラック店頭在庫が少ないなと思っていたら、今月中旬にシステム障害で出荷停止中のニュースを知り、この件が 日経クロステックの記事やダイヤモンドオンラインの記事にまで発展し、結構深刻なモノだという事を知った次第です。ちょっと纏めておきたいと思いました。
数年前(2020年末の決算)の江崎グリコ資料で『基幹システム(ERP)更新』が表明されたものの、その後予算と進捗の推移が発表され不穏があった様です。完了時期は2022年12月とされていましたが、既に1年以上遅れており、また費用も、ソフトウエア仮勘定 の項で当初予算の200億強に対し342億円に増額して、更にシステム障害に至ってしまったので、さらなる修復費用が発生しそうです。
新基幹システムはSAP社のS/4 HANAだそうです。「2025年の崖」にも繋がっているようで、SAPの前モデルR3の保守終了もあり、新システムに移行せざるを得ない様です。
このプロジェクトのシステムベンダー(SIer)は、会計法人として有名な会社の関連会社デロイト トーマツ コンサルティングとのことです。ダイヤモンドオンラインで開かされました。結構醜い内容です。デロイトの内部要因だとしています。S/4HANAのサポート会社は富士通やNEC、日本IBM、アクセンチュア、アビームコンサルティングといったIT大手が表明しており、別にデロイト トーマツ コンサルティングである必要は無かったようです。
S/4HANA自体は2015年から提供開始しており、本格移行(マイグレーション)は2016年からだった様ですが、それなりにトラブルは枯れたのではないかと思ってしまいます。ところが、impressの記事に2022年辺りからS/4HANAへの移行がうまくいっていないという情報が流れていたと書かれています。日本の生産管理システムがSAPERPになかなか馴染めないというのが一因のようです。
この記事の中で、『日本では生産計画は変更されるのが普通』と云う考えが、S/4HANAで反映させるのが困難という事を指摘されています。
このことからもSIerがアドオンとして旧基幹システムから仕込んでいた部分がシステム移行でトラブルに繋がった可能性も考えられます。移行目標期日が1年以上も遅れたこともアドオンソフトウエアの扱いだとすれば合点がつきます。さて、5月中旬まで「BifiXヨーグルトプレーン砂糖不使用」はお預け状態になります。困りました。
2024年5月2日
昨日の江崎グリコ公式発表で、出荷停止期間が6月中に延長されたことが表明されました。システム障害に関する問題の特定は出来ているモノの解決に要する期間が想定以上に掛かる様ですね。文書内には『6月中』と云う記載は有りませんが、メディアは6月中とみて発表しているようです。
今後、デロイト側の被害補償は為されるのでしょうか?株価の動向も気になるところです。この発表前後の動きは微々たるモノでした。
2024年6月6日
この日までに本件に関するプレスリリース更新はありません。今月いっぱいは解決に向けて作業されているのでしょうね。
ただ、この江崎グリコシステム障害事件に絡む日経XTECHの記事がありました。『グリコのトラブルで余波、基幹システム刷新にビビった経営者につける薬はあるか』木村 岳史氏
今回の件はSAPシステムを使っている企業の全てに掛かる問題です。システム更新はせざるを得ないのに、問題の先送りで自分の代での「トラブル回避」をしている経営者がまだまだ多くいるようです。その人たちに対する警告です。
グリコの社長は腹を括ってシステム更新に臨み、不幸にもトラブルに遭ったと云う事なのかもしれません。グリコの社長 江崎 悦朗 氏は、2022年 父・江崎勝久氏から社長を引き継いだようです。そのタイミングでシステム更新の大英断をしたのかと思われます。
今後、旧SAPシステムを利用されている方は、システム更新をせざるを得ないが失敗しないよう、一段の注意が必要となりそうです。
2024年6月17日
6月17日ニュースセンターの更新で「当社基幹システム障害に伴うチルド商品(冷蔵品)の一部商品の出荷再開に関するお知らせ」が公開され、25日以降出荷再開とのことです。
ところが。プッチンプリンやBifixは含まれていません。全面解決では無かったようです。残念です。さて、今回のシステム障害は基幹ERPの「S/4HANA」への移行に伴うモノだという事が判っています。そして同様事案が明るみになってきました。
日経XTECHの6月13日の記事でユニ・チャームも物流システムの連係を巡る障害が発生した事が報じされています。こちらは現時点で解消しているとのことですが。 ここでもSIerがデロイト トーマツ コンサルティングで有ることがダイアモンドオンラインの記事で明らかになっています。※有料会員専用記事です。有料記事内で、デロイトが手掛ける案件の「炎上」が続く背景について、解説されているそうです。3ヶ月にも及ぶ出荷停止となったグリコの損害額は相当でしょうから、デロイトへの弁済請求もあるのかと思います。多分、保守料も相当額要求していたでしょうから、保守料を大きく上回る賠償請求となるのでは無いかと勝手に想像してしまいます。
まだ暫く、この件は追ってゆく必要がありそうです。
2024年8月9日
江崎グリコは7月19日の発表にて第3報としてプッチンプリン等出荷再開するという案内を出しました。
7月3日発表の第2報でBifiXヨーグルトの出荷再開を謳っていましたが、なかなか店頭に並ばず、この3報が出る前後で近くの店舗でも入手可能となりました。
とはいうものの、お店の販売エリアも可成り縮小されています。例年8月初旬に第2四半期の決算短信がリリースされるはずですが、この日までにはリリースされず、それに関するアナウンスもされていないようです。
ダイアモンドオンラインの7月23日の記事で『炎上ITプロジェクトのエンジニアらがSAP基幹システム移行を斬る!グリコの失敗の原因もズバリ【IT業界の内幕・匿名座談会1】』というのが有ります。討論会形式でこの事案の検証をしています。残念ながら有料会員の記事のようです。
2024年8月15日
14日2024年1〜6月期の連結決算が発表されました。売上高は前年同期から横ばいの1540億円、営業利益は10%増の88億円だった。しかし、出荷できずに賞味期限が切れた商品の廃棄などで特別損失56億円を計上し、純利益は53%減の36億円に落ち込んだとのことです。
「今後の懸念は配架(商品の陳列)がどこまで戻るかだ」という役員の発言があった様ですが、システムの問題は払拭できたのか?
外注丸投げ体質の企業が殆どなのに、従来の業務や業界固有の商慣習に合わせた独自仕様を残してしまう。
勝手に思うに、国が示すフォーマットからシステム構築が為されれば、汎用のERPで普通に賄えるのかと思う。変な独自性が会計システムや業務システムに必要なのか?
この記事の中では システムの司令塔不在 の影響を謳っていましたが。。。。
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